カウルを装着する目的は?
バイクの前面に装備されている樹脂製パーツの一つに、カウルがあります。
フロントカウルやアッパーカウルなどいくつかの種類がありますが、純正のカウルがついていないバイクではライダーがカスタムとしてカウルを装備するケースが少なくありません。
このカウルは、見た目で満足度を高めたいという外見目的だけでなく、機能面でも大きな目的があります。
それは、風の抵抗をブロックしてくれるという点です。
バイクで走行すると、ライダーは顔や体、腕に風の抵抗を受けます。
雨が降っていれば、手元が雨でビショビショに濡れてしまうでしょう。
走行中、風や雨は上からではなく前方からライダーへ負荷をかけるため、カウルというパーツをバイクの前面につけておくことで、こうした風や雨の抵抗を受けてくれるのです。
実際にカウルをカスタム装備しているライダーの多くは、風防効果をあげています。
体がむき出しの状態でバイク走行するよりも、カウルを搭載している方が空気の流れや圧をコントロールしやすいというメリットも期待できます。
高速域ほどカウルの恩恵を得られる
カウルは、バイクを走行することによって体にかかる空気の負荷を軽減することができます。
空気の圧はバイクが止まっている状態よりも走行している状態の方が大きいですが、バイクの走行スピードによっても大きく変わります。
低速で走行している時よりも、高速走行している時の方がより大きな負荷がかかります。
もちろん、どのぐらい風の抵抗をライダーが体で受けるかは走行速度だけが影響するわけではありません。
バイクの車種によっては、上体がまっすぐ直立した状態でハンドルを握るものもあれば、カフェレーサーのように前傾姿勢でハンドルを握るライディングポジションのバイクもあります。
上体が起きたライディングポジションの方が、当然ですが走行時における風の抵抗も強くなるため、カウルを装備することによって得られるメリットも大きくなるでしょう。
なかなか認可されなかったバイクパーツ
ライダーにとってはとても実用的なメリットのあるパーツですが、日本国内ではなかなか認可が下りなかったという経緯があります。
認可が下りづらかった理由には、カウルを装備することによってライダーが受ける風の抵抗が少なくなり、スピードを出しやすくなるからというものです。
当時はちょうど暴走族によるバイクの暴走行為が社会問題となっていた時期ということもあり、国はなかなか認可しなかったのかもしれません。
そんな中、合法的にカウルを装着したバイクがラインナップされたのは、1982年に発売されたCBX400Fインテグラでした。
機能性を重視しながらも、カッコよく走行の邪魔をせず目立ちすぎないカウルを標準装備しているという点が多くのライダーから絶賛されました。