コグドベルトの仕組み
コグドベルト(cogged belt)というのは歯付ベルト(toothed belt)のことで、バイクや自転車の他に車両用の自動ドアや複写機、プリンターなどに採用されています。
平行する2軸の間での回転を伝達するのがコグドベルトの仕組みで、マイクメーカーの中でも特にドゥカティ(Ducati)が積極的に採用しています。
ドゥカティといえば1926年に設立され、イタリアのボローニャに本拠地を置くバイクメーカーとして有名です。
ドゥカティでは、1950年代から「ベベル系」と呼ばれる一連の車種が生産されていました。
ベベル系ではベベルギア(傘歯車)によってカムシャフトを駆動するエンジンが特徴で、1974年頃まではドゥカティのバイクはベベル系でがほとんどでした。
その後、「パンタ系」と呼ばれる次世代エンジンの開発が始まり、1979年に「500SLパンタ」が発表されて以来、パンタ系がドゥカティのバイクの主流となります。
パンタ系はベベル系エンジンを改良したもので、カムシャフトの駆動にコグドベルトが採用されているのが大きな特徴です。
コグドベルトのメリットとデメリット
ベベル系エンジンはバルブ作動の正確さという点においては非常に優れていたのですが、生産コストが非常に高く、高度な加工技術が要求されていました。
コグドベルトを採用することによってメカニズムの生産コストが大幅に抑えられ、しかも騒音対策にも役立つことになります。
それと同時に、ゴム製のコグドベルトはチェーンなどよりも軽量で、しかもバルブタイミングのズレが少ないという長所があります。
コグドベルトはゴム製ですので、メンテナンスを怠ってしまうとベルトが突然切れてしまう心配もないわけではありません。
このため、ドゥカティでは2万キロごとあるいは2年ごとにコグドベルトを交換するように指定しています。
走行距離が2万キロに至らなくても、2年ごとにベルトを交歓しておけば安心です。
中古のドゥカティを購入した場合には、前のオーナーがいつコグドベルトを交換したかが不明なので、最初に新しいものと交換しておいた方が無難でしょう。
コグドベルトのメンテナンス
コグドベルト交換の際には、ベルトテンショナーのチェックもしておくことが大切です。
ベルトテンショナーというのはベルトの張り具合を調整するパーツで、内蔵されているベアリングがグリス切れを起こすとメルトを痛めることにもなりかねません。
ドゥカティのベルト調整は非常に厳密な作業で、同社のディーラーは光学的にベルトのテンションを計測するDDS(DUCATI DIAGNOSIS SYSTEM)という特殊工具を使用しています。
いいバイクに乗りたい人は、ちょっとお金を出しても高性能の車種を選びたいものです。